カルシウムが不足するとどうなる? 骨が脆くなるだけじゃない、体内で起きることとは?

2023年5月19日にWHOが発表した2023年版の世界保健統計によると、日本は、平均寿命・健康寿命ともに世界1位を誇る長寿国です。しかしながら、健康への危険因子といわれている喫煙、高血圧、コレステロールなどは高い水準にあるのが実情です。危険因子が多いにも関わらず、フレンチパラドックスと同じく、日本も同病による死亡率は低いという結果が注目されています。そんな日本人の長寿の理由に迫ります。

【フレンチパラドックスとは?】
フランス人の肉の消費量は、世界トップクラス。
過度の脂肪の摂取は体に良くないといわれますが、フランス人は他の西欧諸国にくらべて心臓病による死亡率が低いのです。この一見矛盾とも思える事実は、フレンチパラドックス(パラドックス=逆説)と呼ばれています。これは、赤ワインの中に含まれるポリフェノールによる健康効果の影響であると話題を集めました。

血管系疾患の引き金は、日本人が不足しがちなカルシウム

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、カルシウムの摂取基準が定められていますが、すべての世代が推奨量に足りていないことが明らかになっています。カルシウムが不足するとどうなるのでしょうか。

年代別カルシウムの食事摂取基準(推奨量)と摂取量の比較(mg/日)

年齢推奨量(男性)摂取量(男性)推奨量(女性)摂取量(女性)
18~29(歳)800503650494
30~49(歳)750503650494
50~64(歳)750503650494
65~74(歳)750558650567
75以上(歳)700561600525
日本人の食事摂取基準(2020年版)における1日のカルシウムの推奨量より
令和元年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの一般食品からの1日の摂取量より

カルシウム・パラドックスとは?

カルシウムが不足すると、血液中のカルシウムが増えるカルシウム・パラドックスという現象が起こります。食事での摂取量が足りていない時に、骨からカルシウムが動員され補われます。これは、生命維持に欠かせない活動ではありますが、血液中のカルシウム濃度が高くなると、カルシウムが血管壁に取り込まれ、めぐりを悪くしたり、血管系疾患の引き金となってしまうのです。

STEP
カラダの中に必要なカルシウムが不足する
STEP
食事からのカルシウム摂取量が不足する
STEP
不足しているカルシウムを補おうと、骨からカルシウムが動員される
STEP
余分にカルシウムが動員され、めぐりが悪くなったり、必要ない組織にも付着する

骨からカルシウムが出るのを防ぐ救世主「ビタミンK」

そんなマイナス要因を防いでくれるのがビタミンKです。ビタミンKは、骨からカルシウムが溶け出していくのを抑える働きがあります。その中でもビタミンK2は、必要のない組織に沈着してしまったカルシウムを、歯や骨に促してくれます。つまり、めぐりを悪くする要因になっていたカルシウムを除外するという、なんとも素晴らしい働きをしてくれるのです。

そんな優秀なビタミンKは、野菜や海藻類、発酵食品、乳製品に含まれています。
そして世界で唯一、ビタミンK2の必要摂取量を一度に摂れるのが、日本伝統の発酵食品「納豆」なのです。

世界中の食品の中で最も多く「ビタミンK2」が含まれている納豆

カルシウム・パラドックスを予防するために、食品の中で最も多くビタミンK2が摂れ、さらに、ビタミンK2の中でも最も栄養価の高いメナキノン7が含まれている納豆を食べるのが良いでしょう。

日本人は昔から納豆を食べてきたからこそ、血管系の疾患が少ないのではないでしょうか。ビタミンK2が豊富な納豆は、カルシウムを血管から除いて骨を強くします。元気に長生きするために納豆はとても良い食べ物なのです。

これが、私の提唱するジャパニーズ・パラドックスです。

教えてくれたのは

木村 専太郎 先生

医療法人専心会
病と健康のよろず相談所 木村専太郎クリニック

九州大学医学部卒業。九州大学第二外科研修後渡米、12年間の滞在中にアイオワ大学病院及び米国国立病院にて外科研修、アイオワ州にて外科開業、ER(救急医療)勤務とあらゆる医療の現場に携わる。帰国後、日田中央病院勤務、那珂川病院院長を15年務め、2001年に病と健康のよろず相談所『木村専太郎クリニック』を開設。

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