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世間を騒がせている紅麹。前回は紅麹と青カビの安全性と注意点について解説しました。今回は、紅麹カビと麹カビの違いや安全性について解説したいと思います。
まず、今世間を騒がせている「紅麹カビ(紅麹菌)」と「麹カビ(麹菌)」は別物です。
紅麹カビはモナスカス属に分類されるカビ、麹カビはアスペルギルスに分類されるカビで、異なる種類の生物(カビ)です。紅麹と麹は、それぞれのカビを利用して作られたものであり、名前は似ていますが違うものです。
そのもの株式会社の商品は「紅麹」は使用しておりません。原材料一覧はこちら
紅麹カビ(紅麴菌)は、モナスカス属に分類されるカビです。生育時に、紅色の色素を作るのでこの名前が付けられました。「紅麹」は蒸米に紅麹カビを生育させた食品原料を指します。古くから、沖縄の豆腐ヨウの製造に使われるほか、中国、台湾、マレーシアなどで発酵食品の製造に使われています。
また、日本、中国、台湾、韓国では、食品添加物であるベニコウジ色素(食紅)として使用されています。ただし、EU諸国、アメリカを始め、海外の多くの国では認可されていないので注意が必要です。
近年では、日本・台湾・中国などで、紅麹カビが作るモナコリンKやGABAなどの有用成分が注目され、健康食品の原料としても使用されています。
その反面で、紅麹カビの一部には、シトリニンというカビ毒を作ることが知られており、注意が必要です。ただし、日本で食品や健康食品として使用されている紅麹カビはシトリニンを作らないことが遺伝的解析でもわかっており、安全性は確保されています。
紅乳腐(中国)、豆腐ヨウ(沖縄)、お酒(台湾、マレーシア)、健康食品など

そもそも、麴カビ(麹菌)とは何でしょうか?
麹カビ(麹菌)は、日本の伝統発酵食品を支えてきた有用微生物です。麹とは、米、麦、大豆などの穀物に麹カビを生育させたもので、お酒(日本酒、焼酎、泡盛)、味噌、醤油などの発酵食品の主原料となるものです。近年では、米麹に塩水を加え熟成させた塩麴が調味料の一つとして活躍しています。
日本の麹カビのほとんどはアスペルギルス属に分類されるカビであり、それぞれに特徴を持っています。古来より、日本の発酵食品製造の中核となるカビであり、長年の食経験から毒素などの生産は認められず、その安全性が確認されています。

以下に示す麹カビは、2006年に、日本の「国菌(こっきん)」として認定されました。まさに日本の宝と呼べる、重要な微生物です。
一般的に、「麹」と言えば蒸米にこのカビを生育させたものを言います。若い頃の胞子(分生子)は白色ですが、成長するに従い黄色からウグイス色を示すことから「黄麹カビ」と呼ばれています。アスペルギルス属の代表で、学名をアスペルギルス オリゼ、和名を黄麹カビ、または、麹カビ、麹菌といいます。ちなみに、オリゼという種名は、コメの学名(オリザ)を由来として命名されました。
ニホンコウジカビとも呼ばれ、日本酒や味噌、醤油など幅広く使われています。デンプン分解能力やたんぱく質分解能力に優れた菌です。
2005年に、ゲノム情報(全遺伝子配列)の解析が完了し、科学的にも安全性が確認されています。
日本酒、乙類焼酎(米、芋、麦など)、みりん、白酒、味噌、醤油、甘酒、漬物(麹漬(べったら漬)、モロミ漬、粕漬(奈良漬、わさび漬))、米酢、なれずし、塩麴、酵素製剤(タンパク質分解、デンプン分解、糖分解、脂質分解)など
アスペルギルス属のカビで、学名をアスペルギルス アワモリ、和名を黒麹カビ、黒麹菌、または、泡盛麹カビといいます。現在の正式な学名は、アスペルギルス ルチュエンシス ヴァリエーション アワモリです。ちなみに、ルチュエンシスという種名は、琉球から命名されました。
古くから、沖縄県で泡盛の製造に使用されており、クエン酸などの有機酸の生産能力が優れているカビです。現在でも、泡盛や焼酎の製造に使われています。 胞子(分生子)の色が黒いため「黒麹カビ」と呼ばれています。なお、パンやお餅に生える黒カビは、黒麹カビとは異なるカビです。
泡盛、乙類焼酎(芋など)
アスペルギルス属のカビで、学名をアスペルギルス カワチ、和名を白麹カビ、または、白麹菌といいます。現在の正式な学名は、アスペルギルス ルチュエンシス ミュータント カワチです。ちなみに、カワチという種名は、白麹カビを発見した近代焼酎の父と呼ばれる河内源一郎 氏の名前から命名されました。
古くから乙類焼酎(本格焼酎)造りに使われており、近年では日本酒の製造にも使用されるようになりました。黒麹カビの自然変異株(アルビノ・ミュータント)とされています。
胞子(分生子)の色が白いため「白麹カビ」と呼ばれています。なお、カマンベールチーズなどのチーズ製造に使用されるシロカビは、青カビと同じペニシリウム属のカビであり、白麹とは異なるカビです。
乙類焼酎(芋、麦、米など)
これらの他に、醤油麹カビ(醤油)、草色カビ(かつお節など)、黒カビ(有機酸、酵素製剤等など)などのアスペルギルス属のカビが発酵食品や有用成分の製造に使われています。これらのカビも前述の麹カビと同様に毒素を作らず、安全であることが確認されています。
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参考文献・サイト
1) くらしと微生物、村尾澤夫・藤井ミチ子・荒井基夫 共著、培風館
2) ベニコウジに関する有効性/安全性情報 : 国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所ホームページ、「健康食品」の安全性・有効性情報
https://hfnet.nibiohn.go.jp/alert-info/%E3%83%99%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%80%A7%EF%BC%8F%E5%AE%89%E5%85%A8%E6%80%A7%E6%83%85%E5%A0%B1/
3) カビ : 文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm
4) 麹菌をわが国の「国菌」に認定する ―宣言― : 日本醸造学会
https://www.jozo.or.jp/gakkai/wp-content/uploads/sites/4/2020/02/koujikinnituite2.pdf
5) 一島英治.国際的に認知される日本の国菌,化学と生物, 53 (4), 2015
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=366
6) 日本酒製造参考ページ : https://www.oenon.jp/product/sake/process/
7) 日本酵素産業小史、日本酵素協会

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