生きて腸まで届く納豆菌の秘密!【科学的検証映像】芽胞と栄養細胞

生きて腸まで届く 納豆菌を毎日手軽に。そのもの納豆
生きて腸まで届く 納豆菌を毎日手軽に。そのもの納豆
目次

納豆菌が作り出す有用成分

納豆は千年以上の食経験のある日本の伝統的な発酵食品であり、世界中で健康的な食品の一つとして注目されています。納豆の原料は、大豆と納豆菌だけのシンプルな食品です。しかしながら、その発酵過程で起こっていることは摩訶不思議で奥深い現象です。納豆菌は、発酵過程で数々の有用物質を作り、私たちの健康に貢献しています。

納豆菌が作り出す有用成分の例
ナットウキナーゼ、ポリアミン、ポリグルタミン酸、納豆ペプチド、ビタミンK₂、5-ALA(5-アミノレブリン酸)、オリゴ糖、食物繊維、納豆菌

すべての納豆菌が生きて腸まで届くとは限らない

納豆菌がわたしたちの体内でこれらの有用成分を作るために、また、お腹の調子を整えるためには、生きて腸に届くことが必要です。しかし、すべての納豆菌が生きて腸まで届くとは限らないということを、ご存知でしょうか?

納豆菌が生きて腸まで届くために、最大の難関は胃酸です。胃酸は食べ物を消化するだけでなく、胃に入ってきた細菌や病源菌の殺菌を行っています。体に悪い影響を与える菌だけでなく、乳酸菌やビフィズス菌などの身体に良い影響を与える細菌たちも、ほとんどが胃酸によって死滅してしまいます。

では、納豆菌はどうやって強い胃酸を乗り越え、生きて腸まで届くのでしょうか?その秘密は、納豆菌の持つ「芽胞」にあります。

納豆菌の形とライフサイクル

納豆菌の形

納豆菌は棒状の形をしており、その形状から桿菌(かんきん)と呼ばれています。大きさは、短い方の直径が 1 μm 前後、長い方が 3 ~ 5 μm 程度(生育状態や生育のステージで異なります)。そして、細胞の中で形成される芽胞の大きさは、直径 1 μm 以下です。ちなみに、1 μm は、1/1,000 mm です。肉眼では確認できない、とても小さな生き物なのです。

納豆菌が持つ「栄養細胞」と「芽胞」、2つのライフサイクル

納豆菌は、「栄養細胞」と呼ばれる旺盛に生育している状態と、「芽胞」と呼ばれる休眠状態にある二つのライフサイクルを持っています。

周りの環境(空気、水、栄養分、温度)が生育に適していると、分裂増殖を繰り返し、どんどんと増えて行きます。このライフサイクルの時を栄養細胞と呼びます。

そして、周りの環境が生育に適さなくなると、芽胞というバリアを作り、次に生育に適した環境が得られた時に備え、眠りにつきます。この「芽胞」状態になると、100 ℃の熱水、0 ℃以下の環境、胃酸のような強い酸、放射能(宇宙線)などにさらされても死ぬことがありません。そして、何十年以上もそのまま耐えることが出来ます。

生の納豆の納豆菌は生きて腸まで届くのか?

一般的に、私たちが普段食べている納豆パックの「生の納豆」は、「栄養細胞」の状態の納豆菌がほとんどだと考えられています。まわりに適度な水分や栄養、酸素があり、適温(30~45℃)で発酵されており、生育に適した環境だからです。そのため、生の納豆の納豆菌の多くは、腸に届く前に多くが胃酸に負けてしまうと考えられます。

一方、生の納豆をフリーズドライにして粉末化した「こな納豆」の場合、製造の過程で生育に適さない状態に置かれることで、「芽胞」の状態になっていると考えられます。芽胞状態の納豆菌は胃酸にも耐え、生きて腸まで届くと考えられます。

【科学的検証映像】芽胞と栄養細胞の納豆菌、どちらが生きて腸まで届くのか?

今回、私たちはこの仮説を証明するために、科学的に検証する動画を撮影しました。生の納豆の納豆菌と、こな納豆の納豆菌、どちらが胃酸に負けず生きて腸まで届くのでしょうか。ぜひ、動画をご覧ください。

※これからご覧いただく写真・映像は、全て「そのもの納豆菌」です。納豆菌にも個性があり、それぞれ少しずつ異なった性質を持っています。そのため、この後の映像は全ての納豆菌に共通するものではありません。「そのもの納豆菌」に特有のものとご理解ください。

写真、映像の作成は、科学映像制作のプロでもあり、映像技術に定評のある株式会社アイカムにお願いしています。

そのもの納豆菌の「栄養細胞」と「芽胞」の姿

ここからは、動画の内容を文章でも解説していきます。では、そのもの納豆菌の栄養細胞と芽胞の姿を見てみましょう。

栄養細胞状態の「そのもの納豆菌」

まずは、栄養細胞です。黒く、棒状に見えているのが納豆菌の栄養細胞です。いくつかの菌体が繋がっている部分も見えます。

そのもの納豆菌(sonomono納豆菌、Bacillus subtilis var. natto SONOMONO)

芽胞状態の「そのもの納豆菌」

次に、芽胞です。青白く、小さな球体に見えているのが芽胞です。

そのもの納豆菌(sonomono納豆菌、Bacillus subtilis var. natto SONOMONO)

これらの顕微鏡写真は、普通の光学顕微鏡ではなく、位相差顕微鏡により撮影しました。位相差顕微鏡は、微生物や細胞など、本来は無色透明のものを観察する際に明瞭に見ることができ、生きたまま観察することができる顕微鏡です。

「生の納豆」と「こな納豆」の納豆菌の実際の姿

では次に、生の納豆とこな納豆の納豆菌を見てみましょう。繰り返しますが、どちらも「そのもの納豆菌」によって発酵されたものです。

左側は生の納豆です。黒い棒状の栄養細胞が多く見えています。よく見てみると、芽胞がほとんど見えないのがわかります。右側がこな納豆です。青白く小さな球体の芽胞が数多く見えます。この画像により、生の納豆には、「栄養細胞」の状態の納豆菌が多く含まれており、こな納豆には「芽胞」状態の納豆菌が多く含まれていることが証明されました。

※芽胞の写真に写っている、背景の黒い点々は、こな納豆の固形分です。取り除くことが出来ませんので見えていますが、芽胞とは見え方が異なり、栄養細胞に比べて大きさや形が異なるので、納豆菌ではないことがわかります。

「栄養細胞」と「芽胞」を胃酸にさらすとどうなる?

では次に、栄養細胞(生の納豆)と芽胞状の納豆菌(こな納豆)が胃酸にさらされるとどのような影響を受けるかを、科学的に検証してみましょう。

■実験概要

この実験は、口から入った納豆菌が、胃の中で胃酸により消化作用を受けた後、小腸へ移動したときに、どのような反応を示すかを人工的に再現したものです。具体的な実験方法は次の通りです。

納豆菌の培養を行う栄養培地の上に、栄養細胞と芽胞をそれぞれ乗せ、カバーガラスをかぶせてスライドを作成します。そこに胃酸を流し入れ30分間放置した後に、栄養培地を流し入れて元の環境に戻します。そのまま数時間放置しどのような変化が起こるかを動画で撮影しました。

胃酸を流し入れた時が、胃の中で消化されている状態を再現しています。その後、栄養培地を流し入れた時が、胃の内容物と納豆菌が腸管に送られ胃酸が中和された状態、つまり、元の環境を再現しています。元の環境とは、納豆菌が生育するのに必要な栄養分、水分、酸素、適温がそろっている状態をいいます。

※栄養培地とは、納豆菌が生育するのに必要な栄養分を水に溶かし、寒天で固めたものです。

■栄養培地

左側は栄養細胞です。培地の上で栄養細胞が増殖しています。元気に生きていることがわかります。一方、右側の芽胞は休眠状態なので、短時間では培地の上でも変化がありません。

■胃酸を流し込む

そこへ、胃の中での消化を再現するため胃酸を流し入れます。左側の栄養細胞が小さくなり、動きを止めました。表面の色や様子が変化したことがわかります。胃酸の影響により細胞に変化が起こったのです。一方、右側の芽胞には何の変化も見られません。

■栄養培地を流し入れ〜2時間目

胃酸を流し込んで30分後、消化されたものが小腸へ送られた時を再現するために、栄養培地を流し入れます。つまり、元の環境に戻します。栄養培地に戻してから2時間が経過しました。左側の栄養細胞は止まったまま動きがありません。一方、右側の芽胞を見ると、段々と発芽が起こり、芽胞から栄養細胞が伸び始めて来ました。

■栄養培地:3時間目

3時間目、右側の芽胞から発芽した栄養細胞は、更に元気よく増殖が続いています。

しかし、左側の栄養細胞は動きを止めたままです。

■栄養培地:4時間目

4時間目、右側の芽胞から発芽した栄養細胞は画面いっぱいまで広がり、勢いよく増殖を続けます。菌体の先に見える半透明の丸いものは芽胞の残骸です。左側の栄養細胞は、最初に胃酸に触れた時と同じ状態のままで変化が見られません。

■栄養培地:6時間目

更に、芽胞から発芽した栄養細胞の増殖は続き、6時間目には視野いっぱいに増殖してきました。

このように、芽胞に包まれた納豆菌は、胃酸にさらされても影響を受けることなく、元の環境(栄養分、水分、酸素、適温がそろっている環境)に戻ると、再び増殖して行くことがわかります。つまり、芽胞状の納豆菌は、胃酸の影響を受けても生きて腸までたどり着き、再び元気よく働くことが実験的に証明されました。

一方、栄養細胞の納豆菌は、4時間以上放置しましたが、何の変化も無いことがわかります。胃酸にさらされることにより一瞬で死んでしまったのです。胃酸に触れた直後に、細胞の表面が変化したことからも、胃酸の強さがうかがえます。通常、外から来た食べ物や微生物は、このように、胃酸の働きで消化分解され、小腸で栄養分として吸収されるのです。

実験結果まとめ

今回の実験でもわかったように、生の納豆に多く含まれる、栄養細胞状態の納豆菌のほとんどは胃酸によって死んでしまい腸まで届きません。しかし、こな納豆に多く含まれる芽胞状の納豆菌は胃酸の影響を受けず腸へ届き、再び栄養細胞へ発芽し増殖していくことがわかりました。

つまり、お腹の中で納豆菌が活躍するためには、どんな納豆菌でも良いわけではなく、芽胞状の納豆菌を摂らなければ意味がないことを実験的に証明したことになります。

腸の中で増殖した納豆菌は、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサであるオリゴ糖を作り、乳酸菌やビフィズス菌が苦手な過酸化水素を分解するなどして、善玉菌が住みやすい環境を作り、腸内環境を整える働きをします。腸内環境を整えるためには、胃酸に負けず腸まで届く芽胞状の納豆菌を摂ることが必要なのです。

芽胞状の納豆菌を摂る方法

今回の実験では「そのもの納豆菌」の芽胞を摂ることによって、胃酸に負けず生きて腸まで届けることができることを証明しました。ただし、そのもの納豆菌以外の納豆菌にも適用されるかは不明であることはご理解ください。そのもの納豆菌を使用している商品をご紹介します。気になった方は、ぜひ試してみてください。

こな納豆

化学農薬・化学肥料不使用で栽培された佐賀県江北町産大豆と独自の「そのもの納豆菌」でつくった納豆100%使用したパウダータイプの納豆。納豆をフリーズドライ(凍結乾燥)で粉末化することで、納豆の栄養や生きて腸まで届く「芽胞状の納豆菌」を効率的に摂ることができます。

パパッとかけるだけでバランス栄養食に。そのもの株式会社の「こな納豆」
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そのもの納豆

化学農薬・化学肥料不使用で栽培された佐賀県江北町産大豆と独自の「そのもの納豆菌」でつくった納豆のフリーズドライ(凍結乾燥)粉末を100%使用して植物性ハードカプセルに詰めました。納豆の栄養や生きて腸まで届く「芽胞状の納豆菌」を手軽に習慣にできます。

生きて腸まで届く 納豆菌を毎日手軽に。そのもの納豆
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おわりに

今回の実験は、位相差顕微鏡のステージ(検体をのせる場所)上で実施し、顕微鏡越しに長時間にわたる連続動画撮影を行いました。このような動画を撮影するためには、特殊な設備のほか、豊富な知識と経験が不可欠です。本プロジェクトでは、株式会社アイカム様のご協力のもと、さまざまな試行錯誤を重ね、完成までに6ヶ月以上の歳月を費やしました。

芽胞状の納豆菌がいかに強い生き物であるかを、ご自身の眼でたしかめ、納得して頂ければ苦労した甲斐があります。そのもの株式会社は、今後も科学的な検証を継続し、エビデンスの構築にも注力していきます。どうぞご期待ください。

この記事の監修
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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