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これまでのコラムで、納豆の健康効果についていくつかお伝えしてきました。今回の表題は、関西医科大学の藤田らにより、Clinical nutrition ESPEN誌に投稿され、2025年6月に発表された論文の要点です。原著論文は以下です。
「A 15-year cohort study of self-reported fermented soybean (natto) intake and all-cause mortality in elderly men」
(訳:高齢男性における納豆摂取量と全死亡率における自己申告の15年間のコホート研究)
Yuki Fujita, Katsuyasu Kouda, et al.
Clinical nutrition ESPEN,
2025 Jun 13;68;699-706, doi: 10.1016/j.clnesp,2025.06.017.
本研究は、65歳以上の男性 2,174名を対象に行われた前向きコホート調査です。
2012年にベースライン調査(基礎調査)を実施し、5年後および 10年後に追跡調査を実施しました。ベースライン時および追跡調査時に納豆摂取に関するアンケートを実施し、納豆摂取と全死亡との関連について調査したものです。対象者の死亡率を確認し、ハザード比(HR)を算出しています。
平均追跡期間は 12.0年で、最終的な解析集団は 1,548名でした。本調査期間中における死亡者数は 430名でした。

解析の結果、納豆の「摂取なし」群に比較し、「週に数パック」摂取群では、ハザード比が 0.603、つまり、死亡リスクが約 40 % 減少(正確には、39.7 % 減少)したことを示しています。
ただし、「1日1パック以上」摂取群では、ハザード比が 0.786(死亡リスク減少率 21.4 %)と若干低く、ここでは示していませんがややバラツキが多い結果となっていました。また、「ベースライン時および初回追跡時に週に数パックと1日1パックの組合せ、または、ベースライン時および初回追跡時ともに週に数パック」摂取群におけるハザード比は 0.700(死亡リスク減少率 30.0 %)でした。
これらのバラツキや違いの原因は、他の食品の摂取習慣などによるものと推測されますが、筆者らは、「本研究では納豆の習慣的多量摂取、とくに長期にわたる摂取は、高齢男性における低い全死亡リスクと関連していた。」と結論付けています。
いずれにせよ、納豆の摂取と寿命延長の関連が示された研究結果となっています。
ハザード比とは、医療統計に用いられるもので、ある時点での瞬間死亡率のことです。つまり、死亡の起こりやすさを、試験期間全体の平均的な群間差として算出したものです。
ここでは、各「納豆摂取群」の死亡者数を「非摂取群」の死亡者数で割った数値です。ハザード比が 1.0 であれば、両者の間に差がないと解釈され、1.0より低い場合は「納豆摂取群」の方が死亡発生リスクを抑える効果が高いと解釈されます。通常は、95%信頼区間(CI)という精度を示す結果と合わせて評価されます。
前向きコホート調査とは、被験者グループと確認する疾病発生率(死亡率)を定め、ある時点(ベースライン)から将来にわたって調査を行い、疾病発生率(死亡率)を比較する調査研究のことです。追跡研究とも呼ばれます。
ちなみに、すでに発症している患者群とそうでない群(対照群)について、仮説としてたてられた要因に関し、過去にさかのぼって情報を集め、比較する研究を「後ろ向き研究」といいます。
積極的に納豆を摂取し、健康で長生きできる身体作りを心掛けましょう。特に、科学的なエビデンスもある、芽胞状納豆菌を摂るのが良いようです。
納豆菌には、「栄養細胞」と呼ばれる状態と、「胞子(芽胞)」と呼ばれる休眠状態にある二つのライフサイクルがあります。実は、この「芽胞状の納豆菌」でないと、ほとんど生きて腸まで届きません。
ぜひ芽胞状の納豆菌を摂るように心がけましょう。


小笠原 和也
そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授
熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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