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納豆は心血管疾患と関係がある?心房細動・死亡率に関する研究報告

近年の研究で、納豆などの大豆食品の健康効果が示されています。

今回は、納豆の摂取が心血管疾患のリスクを減少させる可能性があるとの報告を、最新の研究結果も含めご紹介します。

目次

納豆摂取量と心房細動リスクの関連

最新の研究報告として、国立循環器病研究センターのグループにより、大豆食品等の摂取量と心房細動発症リスクの関連が調査され、女性でのみ、納豆およびビタミン K の摂取が多い場合、心房細動リスクが減少することが示されました。

この研究の結果、女性においてのみ、納豆の摂取で 56 %、ビタミン K の摂取で 67 %、心房細動リスクが減少したと報告されています。

心房細動とは、心臓がけいれんを起こしているような状態です。いわゆる、不整脈の一つです。心血管疾患の主な要因であり、心室細動のように突然死には至りませんが、脳梗塞や虚血性心疾患の原因となり問題視されています。

研究内容

この研究は、都市部に住む日本人で、30 ~ 90歳の男女 5,278名を対象とした前向きコホート研究です。開始時に食事頻度調査を行い、大豆食品(納豆、味噌、醤油)、大豆、イソフラボン、ビタミン K の摂取量により、摂取が最も多い群、中間の群、最も少ない群の3群に分けています。平均 12.6年の追跡により心房細動の発症リスクを調査しており、心房細動は、心電図検査、健康診断、医療記録、死亡診断書に基づき診断されています。

結果

その結果、女性では、納豆の摂取量が「最も多い群」では「最も少ない群」に比べ心房細動リスクが 56 % 低いことが認められました。男性では、「最も多い群」では「最も少ない群」に比べ心房細動リスクが 3 % 低く、関連は認められないと報告されています。

また、ビタミン K の摂取においても同様に、女性において「最も多い群」では「最も少ない群」に比べ心房細動リスクが 67 % 低いことが認められました。

なお、男女ともに、大豆食品全体、豆腐、大豆、イソフラボンの摂取量と心房細動リスクとの関連は認められなかったと報告されています。

項目女性男性
納豆摂取量(最も多い群 vs 最も少ない群)心房細動リスク 56%低下3%低下(関連なし)
ビタミンK摂取量(最も多い群 vs 最も少ない群)心房細動リスク 67%低下関連なし
大豆食品全体の摂取量関連なし関連なし
豆腐の摂取量関連なし関連なし
大豆の摂取量関連なし関連なし
イソフラボン摂取量関連なし関連なし
納豆・ビタミンK摂取量と心房細動リスクの関連(性別別)

これらの結果は The Journal of Nutrition 誌の 2026年 1月号に掲載されています。

納豆、大豆タンパク、大豆イソフラボンの摂取と心血管疾患死亡率の関連

この他にも、先行する研究として、「高山スタディ」の名で有名なコホート研究があります。

高山スタディは、岐阜大学の研究チームが、岐阜県高山市の住民を対象に、食習慣を含む生活習慣とその後の死因や生活習慣病、要介護、認知機能との関係を明らかにすることを目的として、1992年に開始したものです。開始時に、ベースライン調査としてアンケート調査を実施しています。

研究内容

調査研究の一つとして、大豆の摂取が心血管系疾患(CVD)のリスクを低下させるかどうか調べています。35歳以上の男女 29,079名(男性 13,355名、女性 15,724名)を対象として、納豆、大豆タンパク、大豆イソフラボンの摂取と、心血管疾患死亡率との関連を調査しました。追跡期間中に 1,678名の死亡が確認され、その内訳は、677名が脳卒中、308名が虚血性心疾患でした。

結果

調査の結果、納豆を最もよく食べたグループは、最も少なかったグループに比較し、死亡リスクが 25 % 減少していたことが確認されました。しかしながら、大豆タンパクや大豆イソフラボンのみを摂取しても CVD に対する影響は確認されませんでした。

疾病別にみると、脳卒中では、納豆の摂取で 32 %、大豆タンパクの摂取で 25 % の死亡リスク減少が確認され、虚血性脳卒中では、納豆を最も多く食べたグループで死亡リスクが 33 % 減少したと報告されています。

納豆の摂取と死亡リスクの関連

項目結果(最多摂取群 vs 最少摂取群)
全死亡リスク25%減少
脳卒中による死亡32%減少
虚血性脳卒中による死亡33%減少

その他の大豆成分の摂取と死亡リスクの関連

項目対象・疾病結果(最多摂取群 vs 最少摂取群)
大豆タンパク心血管系疾患(CVD)全体影響なし
脳卒中による死亡25%減少
大豆イソフラボン心血管系疾患(CVD)全体影響なし

これらの結果は The American journal of clinical nutrition誌の 2016年12月7日号に掲載されました。

なお、前向きコホート調査とは、被験者グループ(集団=コホート)と確認する疾病を定め、ある時点(ベースライン)から一定期間追跡し、疾病発生率(死亡率)の比較から、疾病の関連要因を調査研究することです。追跡研究とも呼ばれます。

納豆を摂ろう

これらの研究結果から、納豆の摂取は健康状態と関連している可能性が示唆されています。

特に、納豆を多く摂取する人の集団において、いくつかの健康指標との関連が報告されていることから、日々の食生活の一部として納豆を取り入れることは、健康的な食習慣を考えるうえで一つの選択肢になり得ると考えられます。

積極的に納豆を摂取し、健康で長生きできる身体作りを心掛けましょう。特に、科学的なエビデンスもある、芽胞状納豆菌を摂るのが良いようです。

▼芽胞状納豆菌とは?関連記事はこちら

参考文献

1) P. Khairan, et al. Association of Soy Foods, Soybeans, Isoflavones, and Vitamin K Intake and the Risk of Atrial Fibrillation: A Prospective Cohort Study, J. Nutr. 156 (2026) 101252
https://doi.org/10.1016/j.tjnut.2025.11.021
2) 心房細動:Medical Note
https://medicalnote.jp/diseases/%E5%BF%83%E6%88%BF%E7%B4%B0%E5%8B%95
3) C. Nagata, et al. Dietary soy and natto intake and cardiovascular disease mortality in Japanese adults, the Takayama study, Am J Clin Nutr. 2016 Dec 7
4) 高山スタディについて:岐阜大学医学部 ホームページ
  https://www1.gifu-u.ac.jp/~ph/takayama.html
この記事の監修者
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

略歴・著書・論文実績等 詳細へ

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