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大豆油の摂り過ぎで太る?大豆油と肥満の関係を解説

目次

大豆油とは?何に使われている?

大豆油とは、大豆(種子)から搾油される油のことです。大豆油、大豆白絞油、サラダ油などの名称で一般的に使われています。

その用途は、炒め物や揚げ物などの調理に使われるほか、マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料や、マーガリンの原料、印刷用の大豆インク、合成樹脂、塗料、石鹸の原料としても用いられています。

また、生成過程で除かれる大豆レシチンは代表的な健脳素材として機能性食品原料の一つとして使用されています。

大豆油の種類は?

大豆油の名称には以下の違いがあります。

大豆油   : 大豆から抽出された油または、大豆由来油の総称。

大豆白絞油 (だいずしらしめゆ): 大豆油を精製したもの。良い風味が得られるので、主に揚げ物や加熱調理に使用される。

サラダ油  : ワックス分を取り除き、低温でも濁らないように高度に精製した油。通常、他の植物精製油とブレンドして用いられる。主に生で使用されるドレッシング原料から加熱調理まで広く使用される。

大豆油は、日本で使用される液状植物油の約 40 % を占め、菜種油に次ぐ使用量であると言われており、アメリカにおいては植物油使用量の 2/3 を占めていると言われています。

世界中の大豆年間生産量は約3.6 億トンとされていますが、その内の約 3 億トン(約83 %)が大豆油の原料として使用されています。生産されている大豆油は約 0.6 億トンと言われています。

大豆油の栄養価は?

大豆油の栄養価的には、当然のことながら、脂肪 100 % であり、その他の栄養分を含みません。

組成としては、ω6 系の必須脂肪酸であるリノール酸が主成分(53.4 %)であり、その他に、オレイン酸(24.1 %)、パルミチン酸(10.6 %)、リノレン酸(6.8 %)、ステアリン酸(3.9 %)などを含みます。(脂肪酸組成:日本油脂検定協会 資料より抜粋)

リノール酸53.4%
オレイン酸24.1%
パルミチン酸10.6%
ステアリン酸3.9%
脂肪酸組成:日本油脂検定協会 資料より抜粋

一般的に植物性脂質は動物性脂質に比べ体に着きにくく(肥満になりにくい)、飽和脂肪酸に比較すると無害であるとされています。

大豆油が体重増加を助長する可能性

しかし、アメリカの研究において、大豆油が体重増加を助長する可能性が示されました。

本研究は、カリフォルニア大学リバーサイド校 細胞・分子・システム生物学科の Frances Sladek 教授らによるマウスによる試験ですが、著者らはヒトにも影響を与える可能性があると述べています。

リノール酸などが生み出すオキシリピンが肥満と関連しているという研究

著者らによる先行研究で、リノール酸を含む多価不飽和脂肪酸の代謝産物であるオキシリピンが、いくつかの代謝疾患と炎症性疾患、特に肥満と関連していることが示されています。

そして、リノール酸が、脂質代謝遺伝子の発現調節タンパク質(HNF4-α)の主要な調節因子であることが示されています。

発現調節タンパク質(HNF4-α) には P1 と P2 の二つが存在しますが、P1 が圧倒的に多く、P2 は代謝ストレス、断食、肝疾患などの特定の条件下で誘導されることがわかっています。

P1 と P2 の量比や遺伝的特徴、性差、年齢などが、大豆油の摂取による肥満度の違いの要因となっていると考えられています。

アメリカの研究で示された“大豆油と肥満”の関係

本研究では、P2 だけを生産するよう遺伝子改変されたマウスが用いられています。対照として遺伝子改変されていない野生型のマウスも用いられています。

両方のマウスに、

  • 大豆油を豊富に含むエサ(リノール酸が豊富)
  • ココナッツ油を豊富に含むエサ(リノール酸が少量)

を同じカロリーになるように与えた群を設定し、試験終了時の肝臓中の脂質代謝遺伝子群の量を確認しています。比較対象群には標準的なエサ(低脂肪食に相当)を与えています。

結果:大豆油を多く摂取した野生型マウスでは体重増加が確認された

その結果、大豆油食群の遺伝子改変マウスの体重増加は、野生型マウスに比べて有意に低いことが明らかになりました。また、血中ではなく、肝臓におけるオキシピリン量が体重増加と相関しているも明らかとなりました。このことは、大豆油過剰摂取による体重増加は血液検査で判定できないことを意味しています。

逆に、大豆油食群の野生型マウスでは体重増加が確認されており、大豆油を豊富に含む食事が肥満および腸の炎症を引き起こしていることが明らかとなりました。腸の炎症は、腸内細菌叢の機能低下と遺伝子発現の劇的な変化に影響している可能性が示されています。

少量で有益なものでも、大量摂取でさらに良いとは限らない

著者らは、「アメリカにおいて肥満率が上昇し続けていることに懸念を持っている。この試験結果から、大豆油がこの100年間にアメリカ人の食事において、鶏肉や果糖よりも最も大きく変化した要因であることを知った。」と述べています。

ただし、こうも述べています。「この試験結果は、我々の食事に多く含まれる大豆油や、他の食事のあらゆる構成成分であっても、無条件に良いものであると認識すべきではないことを示している。」また、「少量を摂取した時に体に良いものが、大量摂取した場合にさらに良いと考えるべきではない。」

大豆油の摂り過ぎが肥満につながる可能性が示されました。しかし、あくまでも過剰摂取時のリスクです。通常の使用量ではリスクは示さないと考えられます。

やはり、何事も適量を心掛け、バランスとることが大切なようです。

参考文献

1)    佐本将彦:プラントベース食品における大豆たんぱく質の役割 プロテインクライシスのリスク低減策,化学と生物,62 (3), 115-121 (2024)
2)    植物油の基礎知識:一般社団法人 日本植物油協会 ホームページ
https://www.oil.or.jp/kiso/seisan/
3)    脂肪酸組成:日本油脂検定協会 資料
   http://www.oil-kensa.or.jp/pdf/F.pdf
4) B. S. Tasgur. Can Soybean Oil Contribute to Obesity ? , Medscape Medical News, December 25, 2025
https://www.medscape.com/viewarticle/can-soybean-oil-contribute-obesity-2025a1000yx9
5) P. Deol, et al. P2-HNF4α alteres linoleic acid metabolism and mitigates soybean oil-induced obesity: role for oxylipins, J. Lipid Res., (2025) 66(12) 100932, https://doi.org/10.1016/j.jlr.2025.100932
この記事の監修者
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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