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子供のころの食生活が肥満リスクを高める?超加工食品が体に与える影響とは

目次

超加工食品とは?

超加工食品とは、食品の加工分類の一つである「NOVA分類法」において、加工度が高く、工業原料や添加物が多い食品を指します。代表的な超加工食品としては、スナック菓子、炭酸飲料、インスタント食品、加工肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)、パン・ピザ(食品添加物などを含むもの)などがあげられます。

超加工食品は、コストが安く、すぐに食べられる一方で長期保存が可能で便利な食品です。

ただし、その反面、飽和脂肪酸や砂糖の比率が高く、エネルギー摂取量が多くなる点が指摘されています。また、加工度の高い原料や食品添加物などを多用する点から、健康への影響を懸念する声も多くあります。

近年、超加工食品が身体に与える影響の研究が活発になっていますので、気になる報告をご紹介します。

子供の食習慣が将来の健康に影響する可能性

超加工食品は既に日常的に摂取する食品となっており、幼少期の喫食が、その後の若年成人期に与える影響が懸念されています。

若年成人期とは、15 ~ 39歳の世代とされており、「AYA世代」と称されてもいます。AYA(アヤ)は、Adolescent & Young Adult の略です。

米国では摂取エネルギーの半分以上が超加工食品由来

内閣府の食品安全委員会も、米国疾病管理予防センター(CDC)全国保健統計センター(NCHS)による「若年層及び成人における超加工食品の摂取:米国2021年8月~2023年8月」と題する報告書を公表しています。

当該報告書によると、2021年8月 ~ 2023年8月までの期間に、1歳以上の調査対象者の総摂取エネルギーに占める超加工食品由来のエネルギーの割合は、平均 55.0 % であり、19歳以上の成人(53.0 %)よりも、1 ~ 18歳の若年層(61.9 %)の方が高かったとされています。

調査対象者総摂取エネルギーに占める超加工食品由来のエネルギーの割合
1 ~ 18歳の若年層61.9%
19歳以上の成人53%
平均55%

食品としては、

  • サンドイッチ(バーガー類を含む)
  • 甘いベーカリー食品
  • 甘くない(塩味の)スナック(ポテトチップス、トルティーヤチップス、ポップコーン等)
  • 甘味飲料

の 4品目が、上位5品目に入っていました。

なお、米国の多くの食事ガイドラインでは、「様々なホールフードを喫食し、糖類を添加した食品の摂取を制限することを推奨」しています。

子供のころの超加工食品摂取と成人期の肥満を調査

「子供のころの超加工食品摂取量と、若年成人期の肥満との関連性」について調べた研究をご紹介します。

グラスゴー大学(イギリス)健康福祉学部の Jill P. Pellらによる、イングランドで実施された「エイボン親子縦断研究(ALSPAC)」のデータを用いた前向きコホート研究の結果が、2026年4月16日のBMC Medicine 誌に掲載されました。

◆ 研究内容

本研究は、子供のころの超加工食品摂取と若年成人期の肥満との関連性と、遺伝的要素の影響を調査した長期前向きコホート研究であり、7歳時の食事記録と24歳時のBMIデータが確認される 3,061人を対象としています。

超加工食品の影響については、食事記録を基に、NOVA分類法による超加工食品の割合を算出し、総エネルギー摂取の割合で評価しています。

遺伝的要素は、ポリジェニックスコア(PGS)を用いて評価しています。ポリジェニックスコアは、多数の遺伝子の違いを調査し、疾病や体質に対する、個人のリスクや傾向を統計的に評価する方法です。近年の研究で、生活習慣病をはじめとする数多くの病気や、身長・体重などの体質には、多数(数十から数万)の遺伝子が影響し合っていることが判っており、膨大な遺伝子の違いを併せて調査・評価することが必要であるとされています。

BMIデータは、7歳と24歳時に測定したものを統計モデルで関連性と相互作用を分析しています。

◆ 研究結果:超加工食品の摂取量が多いほど成人期のBMIが高い傾向

その結果、7歳時の超加工食品摂取割合が 10 % 増加するごとに、24歳時のBMI が 0.21 kg/m3 高くなることが確認されました。

また、超加工食品摂取とポリジェニックスコアとの相互作用が示され、遺伝的要素が高い子供ほど、超加工食品の摂取と成人期の BMI の関係が強くなることが示されました。

つまり、遺伝的要素が高い子供は、超加工食品摂取の増加が、成人期の BMI増加(肥満)につながる可能性が高いことが示されたのです。

超加工食品が肥満につながる可能性

著者らは考察の中で、子供の超加工食品摂取は、遺伝的要素に関係なく、成人期の肥満に寄与するが、遺伝的に高BMIリスクのある子供においてはより顕著に影響すると述べています。

また、超加工食品の摂取は、過剰エネルギー摂取や、血糖・インスリン反応の促進、腸内細菌の変化や炎症を通じて肥満を促進する可能性について言及しています。この傾向は、個人差も大きく、遺伝的要素も関与していることが示唆されていました。

筆者らは結論として、

子供の超加工食品摂取は、成人期の肥満リスクを高めるが、特に遺伝的素因が高い子においてその影響が大きい。早期の食習慣改善と遺伝的リスクに基づく個別介入が必要である

と述べ、遺伝子と環境の相互作用を理解することで、個別化された予防戦略や早期介入の重要性を示しています。

まとめ

超加工食品は、すぐに食べられ、長期保存が可能で便利な食品ではありますが、健康へ影響する可能性も高い食品です。特に幼少期の摂取増加はその影響が大きいことが示されてきています。

今回紹介した研究では、子供のころの超加工食品摂取量が多いほど、若年成人期のBMIが高くなる傾向があることが示されました。特に、遺伝的にBMIが高くなりやすい傾向を持つ人では、その影響が強く現れる可能性があります。

極力、身体に良く・優しく、そして健康的であるホールフードの摂取を増やすきっかけとなれば幸いです。

参考文献

1) Z. Zhou, et al., Genetic predisposition to high BMI, ultra-processed food consumptions in childhood, and adiposity in young adulthood: a 17-year prospective cohort study of 3061 individuals, BMC Medicine, (2026) 24:251
   https://doi.org/10.1186/s12916-026-04764-5.
2) 米国疾病管理予防センター(CDC)全国保健統計センター(NCHS)、「若年層及び成人における超加工食品の摂取:米国2021年8月~2023年8月」と題する報告書を公表:内閣府 食品安全委員会 食品安全総合情報システム
  https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06551160104
3) AYA世代(思春期・若年成人)と希少癌 : 国立がん研究センター
  https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/AYA/index.html
4) 尾崎浩一.生活習慣病の遺伝因子群とポリジェニックリスクスコア,現代医学,68 (1), 22-27 (2021)
この記事の監修者
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

略歴・著書・論文実績等 詳細へ

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