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腸内環境が”免疫”に重要なワケ〜腸と免疫シリーズ1〜

はじめまして、sonomono®︎カスタマー担当の國岡です。

これから「免疫と腸内環境」についての論文や情報を、全6回(予定)に渡って皆様にお届けしてまいります。

本シリーズでは、「腸」と「免疫」の関係を明らかにしていくことで、腸内環境がどれほど免疫にとって、そして私たちにとって重要なものかを紹介させていただく予定です。参考にさせていただいている論文は、内容が専門的で非常に難解ですが、「腸ってすごい! 身体っておもしろい!」と思っていただけるように、わかりやすく噛み砕いてイラスト付きで解説させていただきます。

新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、「免疫」「免疫力」にこれまでになく注目が集まっていますが、情報が氾濫している今こそ、正しい知識や情報を身につける機会になればうれしいです。
みなさまのご意見やご感想お待ちしております。

無菌マウスは、正常な免疫を得られない

腸内細菌を持たない無菌マウスは、腸のバリア機能が低下することがわかっています。
具体的には、菌と戦うための生体防御機能である抗菌ペプチドの量が、通常マウスより少なかったり、
腸上皮の細胞の増殖や入れ替わりが遅かったりします。

さらに、粘膜で活躍する粘膜免疫の抗体も少なく、
どうやって外敵を倒すか戦略を練るヘルパーT細胞、免疫反応を制御するT(ティーレグ)細胞も少ないことがわかっています。

これらの症状は、無菌マウスに腸内細菌を移植することで正常化することから、腸内細菌が免疫に影響していることが明らかになりました。

免疫細胞は腸内でどんな動きをしている?

ところで、免疫細胞は腸内でどんな働きをしているのでしょうか?
いろんな役割をもった免疫細胞たちが協力しあい、私たちの体を守っています。それは感動するほどうまくできたシステムなんですよ。

腸内は、消化吸収をするための絨毛(じゅうもう)がたくさんありますが、その絨毛が生えていない「パイエル板(パイエルばん)」という平らな部分があります。パイエル板には、M細胞(エムさいぼう)という病原体を取り込む場所があります。

M細胞に取り込まれた病原体は、樹状(じゅじょう)細胞という免疫細胞が取り込み、体内で分解されます。
バラバラにされた病原体は、ヘルパーT細胞が「抗原」として受け取ります。

その次に控えているのはB細胞(ビーさいぼう)です。
B細胞は、自分が捕まえていた病原体とヘルパーT細胞が持っている抗原が同じであることを確認すると活性化して抗体を作る細胞に変化します。活性化したB細胞は、IgA(アイ・ジー・エー)という抗体を作り始めます。

IgAは腸壁から腸の中に出ていって病原体にとりつき、病原体を動けなくして排出したり、免疫細胞に取り込まれやすくしたりして病原体から体を守るのです。

IgAと腸内細菌

IgAは、腸内はもちろん唾液や鼻水などにも含まれる粘膜で働く抗体で、病原体の侵入を阻止しています。唾液中のIgAが低くなると上気道感染症(風邪など)にかかりやすくなり、疲労感も強くなります。

このIgAを作り出す活性化したB細胞(以下、「IgA産生細胞」と呼びます)が、腸内細菌と密接に関わっているのです。

IgA産生細胞は、無菌マウスの体内では著しく少ないことが観察されています。逆にIgAがうまく作れない障害を持ったマウスは、腸内細菌が異常に増加してしまいます。
また、きちんと働かないIgAを多く持ったマウスは腸内細菌の構成に異常をきたすことが報告されています。つまり、IgAと腸内細菌はお互いに影響しあってバランスを保っているのです。

今回はIgAに注目して免疫と腸内細菌の関係をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
ですが、免疫システムと腸内細菌が関係するという報告はまだまだあります。アレルギーや慢性炎症を引き起こす免疫異常も、腸内細菌が関わっています。
引き続き、本サイトでご紹介していきますのでよろしくお願いいたします。

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参考文献:
長谷 耕二 腸内細菌により免疫制御 モダンメディア 63 (2) 16-21 (2017)
本田 賢也 腸内細菌と腸管免疫 領域融合レビュー 2, e011(2013)
橋本 俊 腸内細菌叢と免疫の関わり Jpn. J. Chin. Immunol., 40 (6) 408-415 (2017)

次回は「IgAを増やす芽胞状の枯草菌」についてお届けします。
どうぞお楽しみに!

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