納豆菌の摂取が健康への近道?免疫力と腸内環境の関係とは

生きて腸まで届く 納豆菌を毎日手軽に。そのもの納豆
生きて腸まで届く 納豆菌を毎日手軽に。そのもの納豆
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免疫機能の約6割が腸内に存在する

腸の模型をもった女性

先日(2024年12月15日)、「健康カプセル!ゲンキの時間」というテレビ番組で、〝今 注目!免疫力と腸内環境〟というテーマが取り上げられていました。 大変興味深く視聴しました。皆様方にも知って欲しいと思い、まとめてみることにします。

我々が日々接している環境(空気や水)中には目には見えない埃や微生物がたくさん存在しています。また、生きるために欠かせない食事・食品を介しても多くの物質や微生物が体内に入ってきます。これらの中には、ヒトの健康を害する恐れのある物質や微生物・ウイルスも含まれています。

唾液、食道の粘膜、胃酸は、侵入してくる異物を防ぐ役割も担っていますが、これらをすり抜けて腸管まで入ってくる異物も多くあります。腸の中は異物とヒトの戦いの最前線でもあるのです。そして、腸にまで届いた異物から身体を守る機能が「免疫系」です。

ヒトの腸内には免疫機能(免疫細胞や抗体)の約6割が存在していると言われています。そのため、腸内細菌叢や腸内環境を正常に保つことは、免疫力を正常に保つためにとても重要なことなのです。腸内環境を正常に保つためには、規則正しい生活や充分な睡眠をとることが大切ですが、食事の内容に気を付けることが最も大切なことと考えます。

腸内環境を整えるには「短鎖脂肪酸」が重要

腸と腸に良い食べ物

私達が食べた食品は胃の中で消化され、腸管で吸収されます。それと同時に、腸内細菌のエサとなります。

腸内細菌のエサとなる重要な成分が食物繊維です。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分かれ、どちらも大事な成分です。さらに、近年の研究では、食物繊維の発酵性(腸内細菌による分解吸収性)が注目されており、発酵性の高い食物繊維が重要とされています。

腸内細菌は、食物繊維をエサとして、乳酸や短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)を作ります。短鎖脂肪酸は、大腸のエネルギー源となるほか、悪玉菌や病原菌の増殖を阻害して、健やかな腸内環境を作る大切な役割をはたしています。

短鎖脂肪酸を作るために重要な3つの菌

そして、最初に紹介した番組「健康カプセル!ゲンキの時間」内では、短鎖脂肪酸を作るために重要な枠割を担っている三つの菌が紹介されていました。

① 納豆菌

納豆パック

最初の菌は「納豆菌」です。

納豆菌は、デンプンや食物繊維をオリゴ糖に分解します。腸内細菌の多くはオリゴ糖を分解する酵素は持っていますが、オリゴ糖を作る酵素を持っていません。そのため、オリゴ糖を作ることのできる納豆菌は重要な存在となるのです。

また、納豆菌は善玉菌が苦手な酸素や過酸化水素を分解し、善玉菌が活躍しやすい環境を整えます。その他にも、アレルギーを抑える物質やナットウキナーゼなどを作り、お腹の調子を整え、健康に寄与するための働きをしています。

1日1パックの納豆を食べることが良いようです。

② 乳酸菌、ビフィズス菌

ヨーグルトとこな納豆

次に「乳酸菌」、「ビフィズス菌」などです。

乳酸菌は、食物繊維をエサとして乳酸を作る菌の総称です。ビフィズス菌は、食物繊維をエサとして酢酸を作ります。乳酸や酢酸は悪玉菌や病原菌の増殖を抑える働きをするほか、短鎖脂肪酸の原料となります。乳酸菌、ビフィズス菌が善玉菌の代表といわれる由縁です。

小さなカップのヨーグルトを、1日に1個食後に食べると良いようです。

③ 酪酸菌

ぬか漬け

三つめは、「酪酸菌」です。

酪酸菌はその名の通り、短鎖脂肪酸の一つである酪酸を作る菌です。酪酸菌は元々大腸内にいる菌で、食品にはほとんど含まれていません。ぬか漬けを作るぬか床などにはいますが、空気の無いところでしか生きられない菌なので、ほとんどの食品には含まれていないのです。

そのため、酪酸菌を元気にするためには、先に示した、食物繊維、納豆菌、乳酸菌、ビフィズス菌などを毎日摂ることが大事になってきます。

そして、もう一つ、酪酸菌の大事なエサとなるのが「ビタミン B1」です。ビタミン B1 を多く含む豚肉や豆類(大豆、インゲン豆)を摂ることが大切です。納豆菌、食物繊維、ビタミン B1 が同時に摂れる「納豆」は理想的な食品といえます。

食品として摂った「納豆菌」、「乳酸菌」、「ビフィズス菌」の多くは、腸内で働いた後、便と共に排泄されるので、日々摂取することが大切です。

納豆は熱々のご飯と食べても大丈夫です

納豆ごはんと味噌汁

なお、先の番組「健康カプセル!ゲンキの時間」や、多くの管理栄養士が監修した記事で、「ナットウキナーゼは熱に弱いので、炊きたてや熱いご飯に乗せて食べるのは良くない。」といわれます。

でも、ご安心ください。熱々のご飯と共に食べても問題はありません。

ナットウキナーゼは、熱には弱いですが、50℃、1時間では壊れません。60℃、1時間で半分程度、65℃、1時間でほぼ全て壊れることがわかっています。短時間、熱々のご飯の上にあっても、ナットウキナーゼが壊れることはありません。

寒い日が続いています。気温が低くなると血管も収縮し、血の巡りも悪くなり、基礎代謝も下がり気味となります。抵抗力も低くなり、風邪やインフルエンザにかかったり、色々な体調不良にさいなまれます。

服装に気を付け、温かくすることも大事ですが、日々の食事に気をつけ、お腹の調子を整え不調や病気を寄せ付けない身体を作ることを心掛けましょう。

参考文献・サイト

1)    「免疫細胞」半分以上は「腸」に!?…今 注目!「免疫力と腸内環境」徹底リサーチ
https://hicbc.com/magazine/article/?id=genki-column-241215
この記事の監修
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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