

佐賀県江北町の皆さん(205名)のご協力のもと、「そのもの納豆TM」(カプセル商品)を2ヶ月間摂取して頂き、腸内細菌叢にあたえる影響について研究し、論文になったことは何度もご紹介してきました。
ただ、「結果をもう少しわかりやすく説明してほしい」との声を何度かいただくことがありましたので、改めて簡単に解説してみたいと思います。江北町の研究では、いくつかの結果が得られましたが、その中で最も興味深い結果について解説します。
江北町の研究では、参加者 205名を、「摂取群」と「非摂取群」に分けました。「摂取群」には「そのもの納豆TM」を2ヶ月間摂取、「非摂取群」は摂取せずに過ごして頂きました。そして、摂取前、摂取1ヶ月後、摂取後の三回、腸内細菌叢の変化を分析したものです。
その結果、摂取群の男性ではビフィズス菌とブラウティア菌が増えたこと、摂取群の女性ではビフィズス菌が増えたということがわかりました。
ビフィズス菌は代表的な善玉菌です。また、ブラウティア菌は日本人の代表的なやせ菌です。なお、増えたのは占有率、つまり腸内細菌全体の中で占める割合のことです。
ただし興味深いのはここからです。摂取群の男性全員が、ビフィズス菌とブラウティア菌が増えたわけではありません。摂取群の男性の変化は、次の三つのグループにわけられました。
1.ビフィズス菌とブラウティア菌の両方が増えたヒト
2.ビフィズス菌がたくさん増えたヒト
3.ビフィズス菌が少し増えたヒト
試験者の生活背景アンケート調査から食生活を確認した結果、次のことがわかりました。
1.ビフィズス菌とブラウティア菌の両方が増えたヒト
日常的に、納豆を含む発酵食品(発酵した漬物、チーズ、味噌汁、納豆、麹食品、酒粕食品、酢、その他)を多く食べていた。
摂取前の時点で、ビフィズス菌の占有率が平均値より高かった。
2.ビフィズス菌がたくさん増えたヒト
日頃、納豆を含む発酵食品(発酵した漬物、チーズ、味噌汁、納豆、麹食品、酒粕食品、酢、その他)をほとんど食べていなかった。
摂取前の時点で、ビフィズス菌の占有率平均値より低かった。
3.ビフィズス菌が少し増えたヒト
納豆を含む発酵食品(発酵した漬物、チーズ、味噌汁、納豆、麹食品、酒粕食品、酢、その他)を時々は食べていた。
摂取前の時点で、ビフィズス菌の占有率は平均的であった。
つまり、
1.日頃から納豆や発酵食品をよく食べている人は、元々のビフィズス菌占有率が平均より高く、さらに「そのもの納豆TM」を摂取することによりブラウティア菌が増えたことが明らかとなりました。健康的な状態が向上したことを意味します。
逆に、
2.日頃から納豆や発酵食品をほとんど食べていない人は、元々のビフィズス菌占有率が低い状態であったが、「そのもの納豆TM」を摂取することによりビフィズス菌がたくさん増え平均的な状態になったことが明らかとなりました。どちらかというと不健康な状態が、健康的な状態になったことを意味します。
3.時々納豆や発酵食品を食べていた人は、元々のビフィズス菌占有率は平均的であり、「そのもの納豆TM」を摂取することによりビフィズス菌がやや増えたことが明らかとなりました。健康的な状態が維持されているか、やや向上したことを意味します。
なお、女性においても、元々のビフィズス菌占有率が低い状態であった人が、「そのもの納豆TM」を摂取することによりビフィズス菌がたくさん増え、平均的な状態かそれ以上になったことが明らかとなりました。
また、元々のビフィズス菌占有率が平均より高い女性が、「そのもの納豆TM」を摂取した場合は、ビフィズス菌がやや増えたことが明らかとなりました。
女性においては、ブラウティア菌が増えた人は見られず、また、納豆や発酵食品の摂取頻度とビフィズス菌占有率の相関関係は確認されませんでした。このことから、腸内細菌の動向には性差があることが示されました。
別の研究では、ブラウティア菌は、ビフィズス菌との共存下で増えていくことが報告されています。つまり、ビフィズス菌が増えた後、「そのもの納豆TM」を継続的に摂取していれば、やがて、ブラウティア菌が増えることが期待されると考えられます。
さらに、日本人の大規模な腸内細菌叢データベース(SymMAD)を用いた解析では、男女ともに肥満者はビフィズス菌の存在量が少ないこと、男性の高血圧者はビフィズス菌の存在量が少ないこと、男性の糖尿病者はブラウティア菌の存在量が少ない、ということが明らかとなっています。
日頃の食習慣に関わらず、ビフィズス菌やブライティア菌に寄与する「そのもの納豆TM」が、すべての人の健康維持の一助になることを期待しています。
参考文献
1) K. Kono, Y. Murakami, et al: Fluctuations in Intestinal Microbiota Following Ingestion of Natto Powder Containing Bacillus subtilis var. natto SONOMONO Spores: Considerations Using a Large-Scale Intestinal Microflora Database. Nutrients 2022, 14, 3839. https://doi.org/10.3390/nu14183839
小笠原 和也
そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授
熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。
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