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大豆製品が寝不足を改善する?睡眠改善のポイント

目次

睡眠不足はあらゆる不調に関係している?

日本人の平均睡眠時間は 7時間22分と短く、OECD加盟国の中でも飛び抜けて短いと報告されています。

睡眠不足は、日中の眠気や意欲の低下を引き起こし、作業効率の低下を招きます。また、体の疲労回復、不調・病気の回復も不十分となるばかりでなく、脳疲労の回復や記憶の整理も不十分となるなど、脳機能にも影響を及ぼします。

さらに、自律神経にも影響を及ぼし、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌を減少させます。逆に、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌を増加させ、肥満につながります。肥満の常態化は高血圧や脂質異常症などの生活習慣病につながるとされています。さらに、その他の疾病を引き起こす元凶になるともいわれています。

不眠症の種類と世代別の推奨睡眠時間

また、老化に伴う症状の一つに不眠があり、痴呆や様々な健康被害を引き起こすことも報告されています。老化に伴う不眠症は、下記の三タイプにわかれます。

1) 入眠障害 : 床についてもなかなか(30分 ~ 1時間以上)眠りにつけない。

2) 中途覚醒 : いったん眠りについても、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚める。あるいは、眠りが浅く、熟睡した感じが得られない。

3) 早朝覚醒 : 希望する時刻や通常の 2時間以上前に目が覚めてしまう。

 推奨睡眠時間は年代によって異なるとされています。

新生児(生後 ~ 3ヶ月) 12 ~ 15時間
乳児(4 ~ 11ヶ月) 12 ~ 15時間
年少児(1 ~ 2歳)11 ~ 14時間
年長児(3 ~ 5歳)10 ~ 13時間
就学児童(6 ~ 13歳)9 ~ 11時間
思春期(14 ~ 17歳)8 ~ 10時間
青年期(18 ~ 25歳)7 ~ 9時間
壮年・中年期(26 ~ 64歳)7 ~ 9時間
高齢者(65歳以上)7 ~ 8時間

また、季節によっても異なり、夏季に比べて冬季は 10 ~ 40分程度睡眠時間が長くなることも報告されています。

良質な睡眠をとるために必要な3つのポイント

良質な睡眠を得るためには、以下の注意点があるとされています。

1.良質な睡眠のための環境づくり

  • 日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる
  • 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして眠ることが良い睡眠につながる
  • 寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の 1 ~ 2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる
  • できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる

2.運動、食事などの生活習慣

  • 適度な運動習慣を身につけることは、良質な睡眠の確保に役立つ
  • しっかり朝食を取り、就寝直前の夜食を控えると、体内時計が調整され睡眠・覚醒リズムが伴う
  • 就寝前にリラックスし、無理に寝ようとするのを避け、眠気が訪れてから寝床に入ると入眠しやすくなる
  • 規則正しい生活習慣により、日中の活動と夜間の睡眠のメリハリをつけることで睡眠の質が良くなる

3.睡眠と嗜好品(注意する嗜好品)

  • カフェインの摂取量は 1日 400 mg(コーヒーを 700 cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性がある
  • カフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすい
  • 晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある
  • 喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある

(健康づくりのための睡眠ガイド2023 より抜粋)

前述のガイドでも適度な運動や規則正しい生活習慣が推奨されています。あわせて、朝食の重要性と夜食・間食を控えることが明記されていますが、これらは「体内時計の後退(遅寝・遅起き化)」の原因となるためと明記されています。我々は食事内容も重要だと考えますが、本ガイドの Q&A 欄には「現時点で睡眠の質改善に寄与する個別の食品等は特定されていません。」と明記されています。いかにも厚労省らしい記述です。。。

朝食に必要な栄養素は炭水化物とタンパク質

朝は、長い絶食期間が明けた後であり、エネルギー源・栄養源が不足している飢餓状態です。そのため、エネルギー補給・栄養補給が必要です。

■炭水化物

ヒトの基本的なエネルギー源は炭水化物。特にデンプンを構成するブドウ糖(グルコース)です。ブドウ糖の摂取は必須事項となります。そのため、最適な食事は〝ごはん(米)〟あるいは〝パン(小麦粉)〟です。

■タンパク質

次に必要なのが、身体を構成し臓器の働きに必要なタンパク質です。良質なタンパク質の摂取が不可欠です。最適な食事としては、大豆(味噌、豆腐、納豆など)、魚(鮭、青魚など)、卵などがあげられます。さらに、タンパク質を構成するアミノ酸の一つである〝トリプトファン〟は眠りとも関係する重要な成分となります。

タンパク質からつくられるメラトニンが入眠に寄与する

食事として摂取した成分は、ヒトの体内で代謝され、多くの有用成分へと変化します。

トリプトファンも代謝され、セロトニンが生合成されます。セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させストレスの緩和に役立ちます。セロトニンはさらに代謝され、メラトニンが生合成されます。メラトニンは、脈拍・体温、血圧を低下させ眠りの準備を整え、穏やかな入眠へと誘います。

つまり、朝食で摂ったタンパク質中に含まれるトリプトファンは、日中にセロトニンとなり精神安定・ストレス緩和(安定した社会生活)に寄与し、夜にメラトニンとなり穏やかな入眠に寄与します。

大豆製品の摂取が少ないと不眠症になりやすくなる

中国の温州医学大学の研究チームは、中高年における大豆製品の摂取と不眠症の関連を調査し、その論文が Nature and Science of Sleep 誌 2025年8月13日号にアクセプトされています。

対象は、台州市温嶺病院の心臓内科を受診あるいは入院した、45歳以上の中高年 877名(女性の割合は 35%)です。その結果、大豆製品の摂取量が少ないと不眠症の発生率が高くなり、さらに、血中の炎症マーカーが高値を示したことが報告されています。

納豆などの大豆製品を含む、バランスの取れた食生活と生活習慣を心掛け、穏やかな入眠と質の高い睡眠を手に入れ、日々の幸福と健康長寿を目指しましょう。

参考文献

1)   世界一短い? 日本人の睡眠時間: 公益財団法人 結核予防会 総合検診推進センター ホームページ
https://www.ichiken.org/blog/2444-20240105/
2)    健康づくりのための睡眠ガイド2023 : 厚生労働省
https://jssr.jp/basicofsleepdisorders
3)    睡眠障害の基礎:一般社団法人 日本睡眠学会 ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
4)    L. Sun, et al. Association Between Soy Product Intake and Insomnia in Chinese Middle-Aged and Older Adults: A Cross-Sectional Study, Nat Sci Sleep, 2025;17:1837-1849
 
この記事の監修
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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