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現代社会の食生活において、超加工食品は一般的な食品として存在していると言っても過言ではないかもしれません。
近年、超加工食品が身体に与える影響の研究が活発になっています。この記事では、その中から最新の報告をご紹介します。

超加工食品とは、食品の加工分類の一つである「NOVA分類」において、加工度の高い食品を指します。NOVA分類では、食品を加工の程度により 4つのグループに分類しています。
代表的な超加工食品としては、スナック菓子、炭酸飲料、インスタント食品、加工肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)、パン・ピザ(食品添加物などを含むもの)などがあげられます。
超加工食品は、コストが安く、長期保存が可能で便利である反面、飽和脂肪酸や砂糖の比率が高く、エネルギー摂取量が多くなる点が指摘されています。
また、食品添加物を多用する点から、健康への影響を懸念する声も多くあります。
▼ 超加工食品とは何か?詳しくは『超加工食品とは?NOVA分類法の解説』をご覧ください。

アメリカのテキサス大学 ヒューストン健康科学センターの Amier Haidar 博士らの研究チームは、アメリカで行われた動脈硬化に関する疫学調査 「MESA (The Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis) 」のデータを用い、多民族集団における超加工食品摂取と心血管疾患リスクの関連性を調査しました。
この研究では、超加工食品摂取が心血管疾患のリスクとどのように関連しているかを、人種・民族、性別、社会経済的地位による違いを対象として調査したものです。
その結果、超加工食品を最も多く摂取していた群( 1日に 9.3サービング摂取)は、最も少ない群(1.1サービング摂取)と比較して、心血管疾患リスクが 66.8 % 高くなることが示されました。
また、超加工食品の中でも、砂糖を多く含む甘味食品が最もリスクが高いことが示され、加工肉やパン類も関連はするが弱い、または不明確な結果であったと報告されています。
1サービングとは、1つ(1人分)の超加工食品を摂取していることを意味しています。
本研究は、アメリカの 6つの地域から集められた 6,814名の成人を対象とした前向きコホート研究です。
参加者は、45 ~ 84 歳の心血管疾患既往歴のない多民族集団であり、食事調査は、120項目の FFQ(食品頻度質問票)により行われています。
参加者は、超加工食品の摂取量に基づき 5つのグループに分類されています。
超加工食品は、食事総量の 28 %、最も多い群では 41 % を占めていたと報告されています。
追跡期間中に、710件の心血管イベント(非致死性心筋梗塞、冠動脈疾患死、脳卒中、脳卒中死、蘇生された心停止)が確認されています。
心血管イベントに関連する因子である、年齢、性別、人種、教育履歴、収入、喫煙・運動習慣、摂取エネルギー量、血圧、血中脂質、糖尿病の既往歴などを調整し、超加工食品摂取との関連を調査しました。
その結果、超加工食品の摂取量増加は心血管疾患リスクの上昇と関連していることが示されました。
最も摂取が多い群は最も摂取が少ない群に比較し、心血管疾患リスクが 66.8 % 高くなることが示されました。また、1サービングの増加で、リスクが 5.1 % 増加することも示され、上位 80 % の人は、下位 20 % に比較して 41 %リスクが高いことも示されました。
人種別では、黒人(Black Americans)が最も強く影響を受けていたと報告されています。
黒人は、1サービングの増加でリスクが 6.1 % 増加していたのに対し、非黒人は 3.2 % の増加であったことが報告されています。
超加工食品の種類では、砂糖を多く含む甘味食品が最もリスクが高いことが示され、加工肉やパン類も関連はするが弱い又は不明確な結果であったと報告されています。

超加工食品の摂取によって、様々な健康への影響が報告されています。例えば、下記のような影響です。
その結果、インスリン抵抗性や脂質異常、血圧上昇などを引き起こすことが報告されています。
また、炎症性タンパク質を増加させ、体内の炎症経路に悪影響を及ぼすことも報告されています。
栄養面でも、超加工食品中心の食生活になることで、必須ビタミンやミネラル類の不足や欠乏が不安視されています。
著者らは、
「超加工食品は心血管疾患や代謝性疾患と関連しているが、多民族集団での影響は十分に解明されていない。超加工食品の摂取削減は、血管疾患予防において重要であり、人種格差を考慮した対策が必要である」
と述べています。また、
「さらなる疫学的研究と代謝障害への影響メカニズムの解明が必要であり、食品添加物や栄養素の置き換え、食品環境の改善とアクセス向上を目指す取り組みが重要である」
とも述べています。
今回の研究は、アメリカ社会における人種間での影響を研究したもので、日本人に対する言及はありませんが、超加工食品の摂取は全ての人種(人間)において大なり小なり、血管疾患リスクへの影響を及ぼすことが示されています。
調査結果にある通り、超加工食品摂取量が少ない方がより影響は小さいことが明らかです。意識して、喫食を抑えることが必要なようです。
忙しい社会では、利便性やタイパ(時間対効果)も大切なことですが、長期的な健康管理を考慮すると、超加工食品に偏りすぎず、未加工または最小限の加工食品を取り入れながら食品の選択を行うことが大切であると考えます。

参考文献
1) A. Haidar et al., Association Between Ultraprocessed Food Consumption and Cardiovascular Disease Risk JACC Adv. 2026;5:102516
2) The Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis ホームページ
https://mesa-nhlbi.org/

小笠原 和也
そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授
熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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