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【納豆博士が解説】 発酵食品の原料から見える世界の食文化や農畜水産業

発酵食品は、日常生活の中の偶然や保存食品を作る過程で見出されたものが、受け継がれて来た伝統的な食品です。そして、その原料を見てみると、原産国の食文化や主な農畜水産業が見えてきます。

つまり、その国や地域の主要な第一次産業が反映されていることがわかります。発酵食品は保存食としての意味合いも高いことから、充分な量が確保できる原料から作られることを考えれば当然の結果でもあります。

目次

日本や中国、アジアは「米」を原料とする発酵食品が多い

日本は稲作が主要な第一次産業となっており、米を原料とする「日本酒・焼酎」が代表的な発酵食品となっています。米酢、甘酒などの発酵食品もあり、最近では麹の食文化も見直されています。米に続き、小麦、大豆の順で作付面積の多い穀類になっており、これらもお酒(焼酎)や味噌・醤油と言った発酵食品の原料となっています。同様に、稲作が主要な第一次産業である中国や東南アジアでもお米を原料とするお酒があり、米、麦、大豆、雑穀を原料とする発酵食品が数多く存在します。

逆に、欧米では稲作がほとんど行われていませんので、お米を使った発酵食品はほとんど存在しません。昨今、アメリカやヨーロッパの一部で日本酒が製造されていますが、これは、日本の清酒製造技術の輸出であり、発酵食品文化とは異なります。(日本酒の素晴らしさが認められたのは、日本人としては誇らしい限りですが。)

また、日本や東南アジアの漁業が中心の地域には、魚から作った発酵調味料である「魚醤」や、魚を原料とした発酵食品も存在します。

ヨーロッパでは「小麦」を原料とする発酵食品が多い

一方、ヨーロッパでは小麦を始めとする各種の麦が主要な第一次産業となっており、ビール、ウイスキー(スコッチ、アイリッシュ)、パンなどの発酵食品が作られています。

土地柄、酸性土壌で麦類が栽培し難い地域ではブドウが栽培され、ワインやブランデー、ワインビネガーなどが作られています。また、酪農が盛んであり、チーズやヨーグルトなどの乳を原料とした発酵食品も数多く存在します。アメリカも同様な傾向がみられますが、ウイスキーの原料としてはトウモロコシが主となっている点が異なります。

椰子酒、馬乳酒など、珍しい世界の発酵食品たち

珍しい発酵食品としては、東南アジア、特にマレー半島やインドネシアなどで椰子の実を原料とする椰子酒といったものがあります。

また、モンゴルでは、馬の乳を発酵させた馬乳酒があります。馬乳酒は、お酒と名がついていますが、アルコール濃度は 1 ~ 3 %以下と低いものです。街に定住する生活スタイルが一般的になった西暦2000年以前は、貴重な水や野菜のかわりとして、水分、ビタミン、ミネラル補給のために、子供から高齢者まで、毎日大量に飲まれていました。

とはいえ、馬乳酒は初夏から9月頃までの 2 ~ 3ヶ月間だけしか作ることができず、モンゴルの人達にとっては、夏場の貴重な栄養源だったのです。日本人の三島海雲 氏が、満蒙浪人(まんもうろうにん)と呼ばれ、満州(中国の東北地区の旧称)からモンゴルを放浪している時に馬乳酒に出会い、日本人に広めるべく改良して出来上がったのが「カルピス」であるのは有名な話です。

原産国の食文化や気候風土に思いをはせながら発酵食品を味わうのも、オツなものかもしれません。

参考文献・サイト

くらしと微生物、村尾澤夫・藤井ミチ子・荒井基夫 共著、培風館
令和3年度 食料・農業・農村白書の概要(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r3/pdf/r3_gaiyou_all.pdf
小笠原 和也

小笠原 和也 
そのもの株式会社学術顧問/九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間に渡る納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間に渡る納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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