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「デブ菌」や「やせ菌」という言葉を最近良く見かける様になりました。皆さんも、興味津々のワードではないでしょうか?
体形については、標準体形以外に「肥満型」と「やせ型」があります。肥満型の人は、水を飲んでも太るなどとも言われるくらいですが、逆に、やせ型の人はいくら食べても太りにくく、やせの大食いといわれる人も多くいます。実際に、同じ食品を同じ分だけ食べても、両者の間では差が出てきます。従来は「体質」の一言で片付けられていましたが、近年の研究で、腸内細菌の違いが大きく関与していることがわかってきました。
つまり、肥満型の人は「デブ菌」といわれる一群の腸内細菌を多く持っており、逆に、やせ型の人は「やせ菌」といわれる一群の腸内細菌を多く持っているのです。そして、無菌のマウス(腸内細菌を持たないマウス)を使った試験では、デブ菌を移植されたマウスは体重が増加し、やせ菌を移植されたマウスは体重が変化しなかったことが報告されています。
従来の研究結果から、「デブ菌」とはファーミキューテス門に、「やせ菌」とはバクテロイデーデス門に分類される腸内細菌であることが報告されています。ただし、いくつかの研究において、男女間で逆の結果が得られるなど一貫性がありませんでした。
そして、海外での詳細な研究の結果、代表的な「やせ菌」として、アッカーマンシア属の菌(以下、アッカーマンシア菌)が確認されました。2021年には、低温殺菌したアッカーマンシア菌が「肥満をコントロールする食用菌」として、欧州食品安全機関(EFSA)に承認されています。
ところが、あるグループの調査によれば、日本人で、腸内細菌のうち1 % 以上をアッカーマンシア菌が占める人は 10 % 程度に過ぎないことがわかりました。つまり、日本人の 9割近くは代表的な「やせ菌」を持っていないことになります。しかし、ヨーロッパの人々に比べると圧倒的に日本人の方がスリムです。なぜでしょうか??
これに関し、国内でもいくつかの研究が行われました。その結果、日本人ではブラウティア属の菌(以下、ブラウティア菌)が代表的な「やせ菌」であることが報告されました。
2019年10月に、花王株式会社、弘前大学、東京大学の研究グループにより、性別に関わらず、ブラウティア菌が内臓脂肪面積と関係しており、内臓脂肪面積が小さい人は腸内のブラウティア菌が多いことを報告しています。
2022年8月には、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)、早稲田大学、Noster株式会社、山口県周南市および新南陽市民病院の研究グループにより、健常な人と糖尿病患者を比較したヒト研究とマウスを用いた検証試験の結果が報告されました。
その研究によれば、肥満症や糖尿病患者の腸内にはブラウティア菌が少なく、そうでない人はブラウティア菌が多いという結果が得られました。つまり、ブラウティア菌が多いと肥満症や糖尿病のリスクが低下する可能性が高く、また、肥満症や糖尿病を改善する可能性が示されたのです。
ただし、肥満症抑制効果などが発現するためには、ブラウティア菌の占有率は 6 % 以上であることが必要と述べています。ブラウティア菌が一定数以上いないと効果は表れないということです。
そして、マウスを用いた試験では、高脂肪食を与えたマウスにブラウティア菌を投与した群で、体重増加を抑制し、高血糖やインスリン抵抗性などの糖尿病症状を改善することがわかりました。これらの効果は、ブラウティア菌が作る物質により脂肪の蓄積が抑制されるとともに、代謝や腸内環境が改善されるためであることがわかりました。
ブラウティア菌とは、ビフィズス菌と同様に大腸に棲息する菌です。ブラウティア菌は、オリゴ糖が分解されて出来た乳糖やフコースを食べ、乳酸や酢酸などの短鎖脂肪酸を作ります。短鎖脂肪酸が腸内環境を整え、健康に寄与していることはよく知られています。
また、先に紹介した NIBIOHN 研究グループの報告では、ブラウティア菌は、脂肪蓄積抑制効果があるオルニチン、アセチルコリン、S アデノシルメチオニンなどを作ることが報告されています。オルニチンは、アミノ酸の一つで脂質代謝促進効果の可能性が報告されています。アセチルコリンは、神経伝達物質の一つで腸の蠕動運動の制御や炎症の抑制効果が報告されています。Sアデノシルメチオニンは、アミノ酸の一つであるメチオニンから作られインスリン抵抗性を減らす働きが報告されています。
「やせ菌」がブラウティア菌であることがわかりましたが、実は、ブラウティア菌だけではだめなのです。
ブラウティア菌は、他の有用菌と協調的に働き腸内環境を改善しています。ブラウティア菌は、特にビフィズス菌と相性が良いことがわかっており、ビフィズス菌が増えるとブラウティア菌も増えることが報告されています。
ブラウティア菌を増やすためには、バランスの取れた食生活が基本となりますが、エサとなる食物繊維や、ブラウティア菌を増やす効果が報告されている「納豆」などを積極的に摂ることが大切です。また、米や米麹に含まれるグルコシルセラミドもブラウティア菌を増やす因子であるとして注目されています。ご飯を始めとする和食や発酵食品も効果が期待されます。
以上をまとめると、下記のようになります。
参考文献・サイト
1) 9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険 :國澤純 著、日経BP
2) 内臓脂肪と腸内細菌の関係についての研究 ~ 内臓脂肪面積が小さい人はブラウティア(Blautia)菌が多いことを発見 ~ : 花王株式会社プレスリリース、2019年10月28日
https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2019/20191028-001/
3) N. Ozato, S. Saito et al:Blautia genus associated with visceral fat accumulation in adults 20-76 years of age. npj Biofilms and Microbiomes, 5 (29), 2019
4) 日本人の腸内細菌の解析から肥満・糖尿病を改善する可能性がある有用な腸内細菌を発見し、作用メカニズムを解明!! : 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所,早稲田大学,Noster株式会社 プレスリリース、2022年8月15日
https://www.nibiohn.go.jp/information/nibio/files/f034215ce76fb279a83e13f223b821d39b553343.pdf
5) K. Hosomi, M. Saito et al: Oral administration of Blautia wexlerae ameliorates obesity and type 2 diabetes via metabolic remodeling of the gut microbiota. Nature Communications, (2022)13:4477
6) ブラウティア コッコイデス : ヤクルト中央研究所 菌の図鑑
https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4273/
7) アッカーマンシア ムシニフィラ : ヤクルト中央研究所 菌の図鑑
https://institute.yakult.co.jp/bacteria/5463/
8) K. Kono, Y. Murakami, et al: Fluctuations in Intestinal Microbiota Following Ingestion of Natto Powder Containing Bacillus subtilis var. natto SONOMONO Spores: Considerations Using a Large-Scale Intestinal Microflora Database. Nutrients 2022, 14, 3839. https://doi.org/10.3390/nu14183839
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