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腸内環境の乱れは心にも影響?自己免疫疾患とうつ病リスクの最新研究

目次

腸内環境とアレルギーやうつ病などの関連性

腸内環境が自身の健康や精神状態と密接にかかわっていることがわかってきました。

ヒトの腸内には免疫機能(免疫細胞や抗体)の 6 ~ 7割が存在しています。腸内環境が乱れると悪玉菌が増え、免疫力が低下し、その結果、さまざまな体調不良や気分・やる気の低下を引き起こすことにもつながるといわれています。

また、腸内環境が乱れた状態が長期間続くと、免疫力の低下だけでなく暴走も起こり、その結果、さまざまな病気やアレルギー症状の発症、さらには、うつなどの精神疾患にもつながるといわれています。

免疫が暴走を起こすと、花粉症やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー症状や自己免疫疾患を引き起こします。

自己免疫疾患とは、免疫細胞が自分自身の正常な細胞を攻撃することで起こる病気です。代表的な自己免疫疾患として、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、バセドウ病、橋本病、全身性エリテマトーデスなどがあります。

自己免疫疾患と精神的障害リスクの関連についての研究

イギリスのエディンバラ大学 臨床脳科学センターのグループは、自己免疫疾患と精神的障害リスクの関連について研究を行い、BMJ Mental Health 誌の2025年6月10日号に発表しました。

この論文によると、自己免疫疾患患者では、一般人に比較してうつ病、不安障害、双極性障害などの精神的障害発症リスクが約 2倍高く、男性よりも女性の方が顕著であることが示されたとしています。

参加者

この研究は、イギリスで新たに実施された大規模コホート調査「Our Future Health」に参加した、18歳以上の成人 1,563,155 名を対象に行なわれました。参加者は、自身の身体的および精神的健康状態の履歴を申告し、このデータから解析が行われています。

自己免疫疾患としては、関節リウマチ、バセドウ病、炎症性腸疾患(IBD)、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬の 6種類を対象としています。データ解析は、自己免疫疾患発症者グループ 37,808 名と一般集団 1,525,347 名に分けて実施しています。

結果

その結果、自己免疫疾患発症者の精神的障害(うつ病、不安障害、双極性障害など)の生涯発生率は 28.8 % で、一般集団の 17.9 % と比較して有意に高かったと報告されています。

うつ病の生涯有病率は、自己免疫疾患患者で 25.5 %、一般集団で 15.2 % と、有意な差が確認され、調査時に、うつ病の症状が発症している人は、一般集団の 10.5 % に対して、自己免疫疾患発症者で 18.6 % と高い有病率が確認されました。不安症状についても、一般集団の 12.9 % に対して、自己免疫疾患発症者は 19.9 % と高い有病率が確認されました。

項目一般集団自己免疫疾患患者
精神的障害の生涯発生率17.9%28.8%
うつ病の生涯有病率15.2 %25.5 %
うつ病の有病率(調査時点)10.5 % 18.6 %
不安症状12.9 %19.9 %
自己免疫疾患発症者と一般集団における精神的障害の有病率比較

また、自己免疫疾患発症者のうち、女性の精神的障害の有病率は 31.6 % と、男性の 20.7 % よりも高かったと報告されています。

性別精神的障害の有病率
男性20.7%
女性31.6%
自己免疫疾患発症者における性別比較(精神的障害の有病率)

考察

著者らは、「自己免疫疾患患者は、慢性的な炎症状態にあるため、免疫反応が精神面に及ぼす影響が強くなり、精神的な健康問題が発症する可能性がある。女性の有病率が高くなる要因は、性ホルモン、染色体因子、抗体の違いにより、部分的に説明できる可能性がある」と述べています。

納豆、みそ、漬物などの発酵食品を摂ろう

健康な腸内環境を保つことは、精神面の健康にもつながる可能性が示されました。

このためには、規則正しい生活や充分な睡眠をとること、ストレスをためないことが大切ですが、食事の内容に気を付けることが最も大切です。

食物繊維を豊富に含む豆類、穀物類、野菜、発酵食品を食べることを心掛けましょう。特に、納豆、みそ、漬物(ぬか漬け、キムチなど)、ヨーグルトなどの発酵食品は、栄養分が吸収されやすい形になっているほか、食物繊維をはじめとする体に良い成分や善玉菌そのものを摂ることができる理想的な食品です。

日々の食事で積極的に摂り、健康な心身を維持することを心掛けましょう。

参考文献

1) 腸内細菌叢(腸内フローラ)とは 健康長寿ネット : 公益財団法人長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html
2) 平山和弘:腸内細菌叢の基礎、モダンメディア, 60 (10), 307-311, 2014
3) 免疫系の概要 MSD マニュアル : https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
4) 免疫とは何か? 健康長寿ネット :公益財団法人長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/covid-19-taisaku/menekitohananika.html
5) 腸管免疫 腸内細菌学会 :
  https://bifidus-fund.jp/keyword/kw020.shtml
6) 腸内細菌と腸管免疫 ライフサイエンス領域融合レビュー :
https://leading.lifesciencedb.jp/2-e011
7) 大島茂、渡辺守:腸管免疫と腸内細菌の密接な係わり合い、日内会誌 104,  81-85, 2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/1/104_81/_pdf
この記事の監修者
納豆博士|小笠原 和也 そのもの株式会社学術顧問・九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

小笠原 和也

そのもの株式会社学術顧問/元九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 39年間にわたる納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

略歴・著書・論文実績等 詳細へ

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