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【納豆博士が解説】発酵とは何なのか?単一発酵と複合発酵の違いを解説

私たちの日常生活に欠かせない発酵食品。発酵とはどんな現象なのでしょうか?今回は「発酵」についてのおはなしです。

目次

発酵食品って何?

発酵食品って何?

発酵とは、微生物の働きにより有機物が変化する現象のことです。発酵食品とは、ある食材が微生物の働きにより美味しく、あるいは風味豊かな食品へと変化したもののことを言い、調味や保存を目的として作られた伝統的な食品であり、その地域や国で古くから伝えられた文化そのものなのです。

お酒博士として有名な坂口謹一郎博士は、「お酒は文化のバロメーター」と仰いました。その国のお酒を知れば、その国の食文化と文化度がわかるのです。

日本をはじめ、東洋では日常生活に欠かせない発酵食品ですが、その作り方により「単一発酵」「複合発酵」に分けられます。

単一発酵は、一つの原料を一種類の微生物により発酵させるもの

単一発酵は、一つの原料を一種類の微生物により発酵させるもの

単一発酵は、基本的に一つの原料を、一種類の微生物により発酵させるものを言います。

単一醗酵の食品は、納豆、高菜漬け、鰹節など

蒸した大豆を納豆菌により発酵させる〝納豆〟、高菜やすぐきを乳酸菌により発酵させる〝高菜漬け〟〝すぐき漬け〟(乳酸発酵漬物)、煮たカツオの身を燻製にした後カビで発酵させる〝鰹節(本枯節)〟、アルコールや穀物を酢酸菌により発酵させる〝酢〟などです。

海外に目を向けると、牛乳(乳)を乳酸菌により発酵させる〝チーズ〟〝ヨーグルト〟、白菜や野菜を乳酸菌により発酵させる〝キムチ〟、蒸した大豆をカビにより発酵させる〝テンペ〟、ぶどうジュースを酵母により発酵させる〝ワイン〟、蒸煮した麦芽にホップを加えたものを酵母により発酵させる〝ビール〟などがあります。

微生物まかせの単純な工程に見えますが、上手な発酵を行うためには、温度や発酵条件をコントロールする必要がある高度な加工食品なのです。

複合発酵は、複数の原料を複数の微生物により発酵させるもの

複合発酵は、複数の原料を複数の微生物により発酵させるもの

複合発酵の食品は、日本酒、焼酎、味噌、醤油など

複合発酵は、複数の原料を複数の微生物により発酵させるものです。日本酒・焼酎、味噌、醤油などが代表的なものになります。

日本酒の作り方

日本酒の作り方

日本酒の製造方法は、まず、蒸した米にカビ(麹カビ)を付け発酵させた〝麹〟を作ります。次に、麹と蒸米、水を混ぜ酵母を加え発酵させた〝酒母(しゅぼ)(もと))〟を作り、これに麹と蒸米と水を混ぜたものを三回に分けて加え発酵させた〝もろみ〟をろ過します。

麹の発酵過程で、米のデンプンが麹カビが作るデンプン分解酵素の働きで糖類になり、酵母のエサや旨味の基になります。そして酒母(酛)の発酵過程では、まず、乳酸菌が育ち乳酸を作り雑菌の繁殖を防ぎます。その後、酵母が糖類を食べアルコールや香りの成分を作ります。

このような発酵を並行複発酵と言い、日本酒以外のお酒ではほとんど見られない高度な発酵技術です。日本酒の原酒のアルコール度は18~20度であり、発酵酒では世界一高いアルコール度数です。本来、これほどのアルコール濃度の中では酵母も生育が困難ですが、段階的に原料を仕込み、段々と高濃度のアルコール環境に慣らしていくことで、酵母が生育し高濃度のアルコールと馥郁(ふくいく)とした香りを作ることができるのです。

現代の日本酒製造においては、乳酸菌を育てるかわりに乳酸を添加し、雑菌の繁殖を防ぐ方法が取られている場合もあります。

参考 :https://www.oenon.jp/product/sake/process/

味噌の作り方

味噌の作り方

味噌は日本の伝統的な調味料であり、米、麦(大麦、小麦、裸麦)、大豆などが原料となります。

米味噌と麦味噌は、蒸した米又は麦にカビ(麹カビ)を付け発酵させた〝米麹〟または〝麦麹〟と、蒸して潰した大豆、塩水を混ぜ発酵・熟成させます。豆味噌は、蒸した大豆を潰して味噌玉を作り、これにカビ(麹カビ)を付けて発酵させた〝豆麹〟に塩水を加え発酵・熟成させます。

味噌の製造において、麹は極めて重要な働きをし、(せい)(ぎく)には大きな労力と綿密な管理が必要となります。発酵に要する期間は、米の甘口味噌で1週間~20日間、米の辛口味噌で3~6ヶ月間、麦味噌で1~12ヶ月間、豆味噌で5~20ヶ月間程度。淡色系の味噌は比較的発酵期間が短く、赤みそは長期間発酵させます。

米味噌、麦味噌では発酵の初期に、豆味噌では製麹初期から乳酸菌が生育し雑菌の繁殖を防ぐと共に塩なれを良くし、色の淡色化、アンモニアの発生を抑え麹カビの生育を盛んにするなどの働きをします。

その後、酵母が生育し特有の香りを作ります。味噌の種類やそれぞれの味噌蔵によって乳酸菌の種類が異なり、独特の風味が生まれます。
長期発酵の味噌では、発酵の前期と後期(熟成期)では、働く酵母の種類が異なることもあります。

古くは、それぞれの蔵に乳酸菌や酵母が住み着いており、自然に発酵が行われていましたが、現代では、仕込み時の塩水に乳酸菌と酵母を加え発酵を行わせています。

参考 :https://www.hanamaruki.co.jp/misogura/about/production-flow-of-miso/

醤油の作り方

醤油の作り方

醤油も日本の伝統的な調味料であり、大豆と小麦が原料となります。

蒸した大豆と、焙煎し割砕した小麦を混ぜ、麹カビを付け発酵させた〝醤油麹〟に塩水を加え発酵・熟成させた〝もろみ〟をろ過した普通醤油と、脱脂大豆を蒸した後で潰し、味噌玉を作りこれに麹カビを付けて発酵させた〝(たまり)(こうじ)〟に塩水を加え発酵・熟成させた(たまり)醤油(しょうゆ)があります。

普通醤油は、濃口(こいくち)醤油と淡口(うすくち)醤油に分けられます。その他に、白醤油、再仕込み醤油などの特殊醤油があります。また、近年では減塩醤油の製造も盛んとなっています。醤油も日本酒、味噌同様に麹カビ、乳酸菌、酵母の共生により発酵されますが、発酵に寄与する乳酸菌と酵母の種類が多いのが特徴です。その分、風味の異なる製品が多くなっています。

参考:https://www.soysauce.or.jp/knowledge/process

前述の様に、単一発酵と複合発酵について説明しましたが、厳密にいえば、ぬか漬けや乳酸発酵漬物(古漬け)、ヨーグルトなどには複数の乳酸菌(ビフィズス菌を含む)や酵母、その他の微生物が関与している場合があり、明確な線引きは困難です。

発酵食品とは、なかなか奥の深い食品です。

「国菌」ともいわれる「麹カビ」とは?

「国菌」ともいわれる「麹カビ」とは?

日本酒、味噌、醤油の製造に用いられる麹カビは Aspergillus oryzae(アスペルギルス オリーゼ 、和名:黄麹カビ)という日本特有の麹カビです。近年では「国菌」とも呼ばれています。ある種の醤油や焼酎・泡盛の製造には、同じアスペルギルス属でも別の種の醤油麹、白麹、黒麹などが使われています。アスペルギルス属による麹は「バラ麹」とも言われ、米や麦が粒のまま麹になっている点、発酵力が強いなどが特徴的です。

同じように麹を使った発酵食品は中国やアジア各国にもありますが、こちらの麹は、高粱(こうりゃん)、生の小麦、トウモロコシなどの粉を水で練って固め、レンガ状にした麯子(きょくし)と呼ばれるものであり、日本の麹とは形状が異なります。

また、使用されるカビもムコール属(ケカビ)、リゾーパス属(クモノスカビ)、モナスカス属(紅麹)と日本とは異なる種類になります。

なぜ、日本と他の国では麹に使われるカビの種類が異なるかは不明です。これも、発酵食品にまつわる不思議の一つです。

小笠原 和也

小笠原 和也 
そのもの株式会社学術顧問/九州大学大学院 農学研究院 特任准教授

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間に渡る納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

熊本大学大学院医学教育部卒。 ナットウキナーゼをはじめとする機能性⾷品原料の研究開発、 35年間に渡る納⾖菌を主とする微⽣物学・醗酵学・酵素学の研究開発の経験をもとに幅広く活躍中。

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